2006年12月8日

今シーズンの活動を終えて

2006年度 武蔵大学ラグビー部
 監督 増岡真日


12月2日(土)、好天のもと朝霞グランドにおいて「4年生壮行試合(OB戦)」および「平成18年度シーズン報告会(懇親会)」が開催され、学生とOB、大学関係者、学生ご父母の皆様とが交流の場をもち、今シーズンの武蔵大学ラグビー部の活動を振り返る楽しいひと時を過ごした。

また、シーズン報告会の中においては、来年度の学生幹部が森沢主将より発表され、藤田健一郎が来年度の主将としての命を受け、心新たにチームの出発を誓うことで武蔵大学ラグビー部平成18年度シーズンの活動に幕が下ろされた。

ご存知のとおり平成18年度シーズンは、目標「公式戦4勝」を達成することができ、4勝3敗、対抗戦Bグループ3位という過去最高の順位で終えることができた。
私は、今年のチームがこの結果に至った要因を次のとおりと考えている。

(1)明確な目標の設定、実行
(2)チームとしてのまとまり、成長
(3)武蔵ファミリーの結集、サポート

設定した目標を単なる目標として終わらせないために
チームは、日々考え、行動した

今年のチームは、森沢主将の強いリーダーシップによってチームの公約として掲げた目標『公式戦4勝』を必ず達成し「武蔵大学ラグビー部の歴史を変えるのだ!」という絶対的なモチベーションを導き出し、チームが一つの目標に対してまとまることができた。

3勝で迎えた最終戦東大戦は、まさにこのモチベーションがチームに火をつけ、逆転の勝利を手にすることができた。 そして、何より武蔵ラグビーの目指すプレースタイルをコンセプトのままで終わらせることなく、自らの現実のプレースタイルとしてゲーム戦略に落とし込めたことがとても大きかった。

この数年間結果を出せなかった武蔵ラグビーにおいて「どのようなラグビーをすれば我々は勝てるチームになれるのか」について散々スタッフ、学生間で模索した中で、辿り着いたその答えが『ムービング・ザ・ボール』(ボールを素早く動かし、スペースに運んでいく継続ラグビー)というコンセプトであった。

例えば、公式戦4試合目で体格に勝るフォワードを前面にして、スクラム、モール中心のスローなゲームペースで徹底的に攻めてきた一橋大に手痛い敗戦を喫した試合。後半20分からゲームのスピードを上げてボールをワイドに散らし、全員が走り回るプレーで追い上げた。
まさに『ムービング・ザ・ボール』というプレースタイルこそが体が小さくも走力のあるフォワード、ハンドリングが得意、スピードあるバックスを有する武蔵ラグビーの優位性であることをチーム全員が確信する機会となった。

この後、前半はキックで刻んで前進していくどちらかといえば手堅いゲーム運びから、前半からボールを積極的にスペースに散らし、相手フォワードが疲れて走れなくなる後半に一気にたたみ掛けるイメージのゲーム戦略を徹底させ、残す3試合すべてに勝利(成城大、東大戦は後半で逆転)をもたらすきっかけとなった。

今年のチームが敗戦から学習することができるチームになったことに学生の成長をうかがい知ることができた。

チームが真に“心”を一つにした日

一つ思い出深い光景がある。

最終戦前日の練習後のメンバー発表で、森澤主将が怪我で満身創痍の鶴巻副将をスターティングメンバーからはずす発表を行った。自らの大学生活最後の試合に出場できない鶴巻副将を思い、皆が涙した。そして、明日は鶴巻の重荷を背負って闘おうと皆の心が揺るぎなく一つにまとまった。

私もかつて体験したことの無いほどのこの時の空気の一体感は、それだけで翌日のチームの勝利を確信するのに充分であった。

今思えば、今年のチームスローガン『Toughness&Creativity』(心も体もより強く、より逞しく、何事も創意工夫をもって)の“心”の『Toughness(タフネス)』を達成した瞬間であったのだ。

“武蔵ファミリー”が与えてくれた力と勇気

ただ、1年間の活動を通じて、この結果に辿り着くまでの道のりは決して順風満帆ではなかった。春には少ない部員数においても退部者が出た。そして、公式戦を重ねるごとに怪我人が出て最終戦は16名で戦った。

しかし、どのような状態にあっても学生の側にはいつもコーチングスタッフ、アドバイザースタッフがいてくれた。グランドの中で、またグランドの外で学生の支えとなってくれた。

そして何より監督である私の心強いサポーターとして存在してくれた。 また、忙しい中繁く足を運んで学生の面倒を見てくれた岡元さん、音羽倶楽部の皆様にも支えられた。

そして、試合となれば、本当に数多くのOB、学校関係者、学生ご父母、その他関係者の皆様がグランドに足を運び、心強い声援で学生を後押ししてくれた。
特に、11月26日(土)の東大戦は最終戦に相応しい最高の舞台を作っていただいた。

私はこれら武蔵ラグビーに関わる集合体を日頃から“武蔵ファミリー”と呼んでいる。
武蔵ファミリーの結集、そして心からのサポート。学生を取り巻くこの環境こそが武蔵でラグビーをやることの充実感を後押し、学生に底知れない力と勇気を与えてくれているのだと思う。

このような環境の中でラグビーができた今年のチームは、本当に幸せだったなと思う。
逆に、今年のチームの活躍がそれだけ周りの人たちの共感を呼び、応援したくなるチームとして存在できたということが私にとってもとても嬉しいことでもあった。

勝利の後の武蔵大学賛歌の“味”

東大戦の試合後には、当日ご声援いただいた関係者の皆様と武蔵大ラグビー部の皆とで100名以上の大きな一つの輪を作り、当日駆けつけてくれた武蔵大学応援団のエールのもとで武蔵大学賛歌を高らかに歌うことができた。

前日、森沢主将にメールした。「明日試合に勝って、グランドにいる武蔵関係者全員で武蔵大学賛歌を歌うぞ!」と。
そのとおりになった。あの武蔵大学賛歌の味がしょっぱくも格別な味がしたのは私だけではなかろう。

来シーズンに向けた課題

来年度は、必然として、さらに上を目指したステージへのステップアップが求められるとともに、対戦校のマークが厳しくなるシーズンであることを肝に銘じなければならない。
『ムービング・ザ・ボール』のプレースタイルを生かす意味でも、セットプレー、特にスクラムの強化は避けて通れない。
さらに密集での接点の強さ、スピードにもさらなる強化が必要であろう。
全体的に“力強さ”を身に着けることが今年以上の結果を得るための必要条件になる。
前半に失点が多いことからも、ゲームの入り方や前半のゲーム戦略の工夫も望まれるであろう。
そして何より、より効果的な日々の練習を重ねられるためにも部員の補強、獲得にも力を入れなければならない。


最後に、この1年、温かなご支援、ご声援いただきました皆様にはこの場をお借りして心より感謝を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。 そして、今後の武蔵大学ラグビー部の飛躍に向けて、さらなるご支援、ご声援をよろしくお願いいたします。