<戦評>
武蔵大の大きな勝因のひとつは、前半3分、8分、後半10分と早い時間帯に先制点を取り、常に主導権を握りながら試合を戦えたことだろう。
それによって、成城大にはあせりが生じ、ミスを誘発させてゲームの流れを武蔵大に引き寄せることができた。また、キックオフやハイパント等味方がキックしたボールにはしっかり追いかけて相手にプレッシャーをかける。 マイボールラインアウト、マイボールスクラムを確実に確保し、生きた球出しをする。それぞれ当たり前のプレーだが、それらのプレーを確実にこなせたことが、チーム全体の気持ちの余裕につながっていった。
こうした状況の中、前半38分、得点12−8のときにFB森沢(2年)の敵陣35m地点、難しい位置からのドロップゴール(15−8で折り返せたことは大きかった。)や後半20分に自陣5m、敵ボールのラインアウトを2番の位置でFL河野が奪い取り、その後FWの結束した堅いモールで自陣の22mまでボールを押し返すプレーなどの起死回生のプレーを生んだ。
ディフェンスでも前半25分、自陣ゴール前で成城大FWのラッシュに釘付けされるも、xbW寺尾(4年)が体を張って押し返すなど、ゴールを簡単に割らせなかった。
今まで力の出しきれなかったBKのライン攻撃も、両WTBからの積極的なコーリングにより、外側にボールを集め、タイミングの良いパスやギヤップをついた走りで再三チャンスを作り、5トライ中4トライをBKのライン攻撃で奪ってみせた。
チームとしても決してキレたり、諦めることがなかった。
後半25分、成城大のチャンネル0、1をしつこく攻めつづける攻撃にゲインを突破され、ついに 20−20の同点に追いつかれた。しかし、集中力が切れかかったかに見えた武蔵大プレーヤーだが、皆で声を掛け合い、チームの意識を奮い立たせながら気持ちを立て直せたことは大変素晴らしかった。
そして後半40分、得点25−20のとき、相手のミスから味方が奪ったボールをWTB石川陽平(3年)が受けて、相手FBを振り切り40mを独走してのトライを引き出し(石川陽平はこの日3トライを奪う)、ゲームを決定づけた。
課題も多かった。まず、ゲームメイクの不味さである。前半10分で2トライ12点差としていたのだから、後は敵陣で戦うことに集中すればいいだけなのに、焦ってラインオフサイドしたり、ラックに横から入るなどのくだらないペナルティーやタッチキックミスなどが多く、自らリズムに乗り切れないでいた。また、今日もスクラムトライを1本取られたようにセットスクラムの安定についてもあと2週間諦めずに取り組んで欲しい。
今回の勝利で私の中で印象的だったのが、女子マネージャーの一人が涙を拭っていた姿を目にしたことである。
この日の勝利は、選手はもちろんだが、サポートする周りの者にとっても待ちに待ち望んでいた本当にうれしい価値ある一勝であったと思う。運良くあと1戦を残している。今年1年で身につけたもの全てを出しきって、卒業する4年生のためにも悔いの無い試合を戦って欲しい。
加賀美 功(S62卒)
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